※貨物新幹線のイラストは当時のイラストをもとに、色を塗り替えた想像の車両です。

大阪府摂津市にある、貨物新幹線計画の遺構。1964年の東海道新幹線開業の一年前に本線をまたぐ形で掛けられた高架橋です。日に300本以上の新幹線が通過する中、安全に解体、撤去する方法にめどがついたため、この度、来秋をめどに撤去が完了する方針です。

読売新聞:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160905-00050069-yom-soci&pos=2

読売新聞ニュースから引用

読売新聞ニュースから引用

 

いつもMr.DIMERをご覧いただいている方から、FBへのビジター投稿を頂戴しましたので、今日はその記事を取り上げることといたしました。

 

貨物新幹線計画。

1編成で30両を組み、深夜に東京~大阪間を5時間半で結ぶ。150個の5トンコンテナを一度で輸送する構想でした。鳥飼、東京、静岡、名古屋の4か所で貨物ターミナル駅の用地買収を終え、国鉄が発表した資料には専用車両の設計も進んでいました。

 

東海道新幹線の開業に当たっては、当初3,800億円の建設費を見積もっていましたが、この巨額の予算を目の当たりにした時、国会が承認するかどうかが焦点となりました。結局、高額になる予算を提示せず、ほぼその半分にも満たない1,972億円で国会を通過。

もっともこれは一説ですが。。。

 

ただ現実に、建設を進めるうち、予算が不足することが明らかとなってきました。目前に迫った東京オリンピックの影響もあったのでしょうか。建設費は高騰し国鉄は、世界銀行からの融資を受けることとなりました。

この際、世界銀行からつけられた条件、それが「新幹線で貨物輸送も行いなさい」というもの。

 

そのような要請にこたえるよう国鉄は、東海道新幹線開業の前年までに、貨物新幹線計画を具現化し、用地買収、車両設計、路線建設を進めていたのです。

 

しかし時代はモータリゼーション化へとまっしぐら。貨物輸送は、高速道路網の発達により自動車輸送へとシフト、シェアを伸ばしていきました。前述のように建設費は高騰、新幹線利用客も増加する一方で、はたして貨物新幹線自体、実現可能性、もとい、実現の必要性はあるのか。

 

当時の国鉄の腹の内を知ることはできませんが、様々の事情によりこの貨物新幹線計画は「幻」となってしまったのです。

 

ところが、貨物新幹線計画はすべてがとん挫したわけではありません。

 

北海道新幹線では2020年をめどとして青函トンネルを経由する、新しい形での貨物新幹線の実現可能性について、まさに今議論が進んでいるところです。遡ること52年前の計画が今、形を変えてよみがえるのか、注目を集めています。

 

(本日のイラストは、国鉄が発表した貨物新幹線計画に描かれていた機関車カラーリングを、0系新幹線に施した想像上の車両です)

  1. Prometheus より:

    JR九州が新幹線の貨物輸送を検討するそうです。と言っても貨物専用の車両やスジではなく、閑散時に旅客列車の一部を貨物輸送用に充てる、言わば間合い活用の「混合列車」ですが、最大の競争力である速達性に対する市場のニーズはどの位あるのか、それをどう収益に結び付けるか、ビジネスモデルの構築がカギになると思います。

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