昨日29日、JR西日本は、来年6月17日にデビューするクルーズトレイン・TWILIGHT EXPRESS 瑞風の説明記者会見を行いました。

列車の旅行プラン・旅行代金等が明らかとなり、来年の運行開始に向けいよいよ総仕上げといったところです。

≪新たな長距離列車を計画中？？≫

さて、本記者会見において、同社の来島達夫社長は、上質な寝台列車の位置づけで登場させる「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」を用意する一方、”気軽に”長距離の列車を利用するというニーズにも応えられる、新たな”鉄道の旅”を実現すべく検討を進めている旨、明らかにしました。

豪華クルーズトレインのはしりであるJR九州ななつ星に続く、JR東日本・四季島、JR西日本のTWILIGHT EXPRESS 瑞風と、今後高級化路線を突き進むであろう”新たな寝台列車”、”クルーズトレイン”の波の中にあって、お手頃に長距離鉄道の旅を楽しもう、というコンセプトと捉えましょうか。

愛すべきモノクラス寝台列車の事実上の復活と言えなくもないかも、しれません。

≪これまでの長距離列車の役割≫

かつて、寝台列車や長距離列車における主たる使命は、まさしく”都市間移動”でした。

新幹線の開業・高速道路網の発達・航空料金の低廉化による空路の大衆化は、中・長距離移動の選択肢として鉄道輸送に台頭するものとなり、結果鉄道が旅客を輸送するという役割は、通勤・近郊需要のほか、優等列車においても首都圏と交通利便性の乏しい地方都市を結ぶものへと変化していきます。

これに伴い、これまで利用されてきた列車は、時間がかかる・料金が高い等、時代とともに移ろった利用客のニーズにこたえられなくなってきました。

大都市間を結ぶ花形の優等列車は、新幹線へ役割を移譲するとともに、夜行列車についても、軒並み退く運命をたどることとなります。

近年まで人気を誇っていた北斗星やカシオペア、トワイライトエクスプレスといった寝台特急は当時、新幹線の走っていない北海道方面への旅客輸送を担う役割も擁していましたが、別の面では北海道観光を兼ねた観光列車としての側面も持っており、それまでに利用客の低迷で廃止が相次いだ寝台列車とは一線を画すものでした。

直前に述べた寝台列車は、北海道新幹線開業に伴う青函トンネルの制約、北斗星・トワイライトエクスプレスについては車両の老朽化といった複合的要因が重なった結果において廃止を余儀なくされたもので、”観光的要素を含んだ長距離列車・寝台列車”の可能性は、それら列車の廃止された今日においても多分にあろうかと考えます。

≪これからの長距離・夜行列車とは≫

JR西日本においては2016年現在、最後の定期夜行寝台列車であるサンライズ瀬戸・出雲が好評を博し、運行中です。

これは、東京と山陰・四国エリアを結ぶもので、新幹線が開通しておらず、時間・距離の観点から航空機にも対抗できるという狙いの元、JR東海・西日本の協力で誕生した列車です。

それまで使用されていた寝台客車は開放寝台が主体となる編成でしたが、プライバシーを重視するようになった顧客のニーズには、ほぼ個室寝台を備えた寝台電車285系を開発し対応。

ミサワホームのユニットによる客室内は木目調で温かみのあるインテリアとなり、女性客にも多くの支持を得ています。

JR西日本が豪華クルーズトレインの運行開始を発表した矢先に、次期、長距離列車の構想を発表するのには、攻めの姿勢を感じられるところですが、それは、一時は低迷し廃止の一途をたどった寝台列車をリノベーションし、見事に復活させた”サンライズエクスプレス”に対する自信と自負があるから、ではないでしょうか。

移動を主たる目的とした長距離列車の復活となるのか、観光・旅行需要に主眼を置いた列車となるのか、まだまだ構想は先のお話となりそうですが、新たな気軽に楽しめる”長距離列車”の動向に、期待と注目が集まります。

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