福知山線脱線事故から12年、この教訓から活かされる現在の安全性(寄稿:九州大学鉄道研究同好会員 横ひじ)
先日4月25日、福知山線脱線事故が発生してから12年が経ちました。
今から12年前、著者は小学生でしたが、事故発生のニュースをテレビで初めて見たときの衝撃は今でも鮮明に覚えています。
今回は福知山線脱線事故から12年経った今、事故の教訓が現在の福知山線の安全対策にどのように活きているのかを述べたいと思います。
車両における安全性の向上
現在、JR西日本では225系、227系、323系などの安全性を高めた新型車両を導入しています。
225系においては、先頭形状が227系車両と同様で車両前頭部を強化しており、車両異常挙動検知装置 、編成間転落防止ホロ搭載、さらにATS、パンタグラフなどにおいて機器の二重化を図っています。
施設における安全性の向上
施設面においては、主に線路設備の強化が行われています。
昨年、JR西日本では、初めて全長150mのロングレールを山陽新幹線に導入しました。
さらに在来線においても新設や大規模改良に合わせて必要により長尺レールを敷設しており、ロングレール化を進めております。さらに枕木を木製からコンクリート製にするPC枕木化を推進しており、線路の更なる耐久性の向上を図っています。
電気設備における安全性の向上
ATS-Pを充実させるだけでなく、列車内で位置情報と速度制限個所や駅のホームなどの情報を照合し、減速したり、誤ったドア扱いを防止するシステム、列車が脱線したことを検知し、自動で非常ブレーキを作動させて周囲の列車へ緊急停止信号等を発信するシステムなどの新技術によるシステムの実用化を行っています。
さらに、昇降式ホーム柵の導入など、より高いレベルの保安システムを開発し、実用化しています。
おわりに
福知山線脱線事故から12年経った今、当時の教訓が現在の鉄道路線の安全性に活かされています。
他にもダイヤにゆとりを持たせたり、
この事故を忘れることなく、今後、より安全な鉄道路線が全国で引き継がれ続けていくことを祈っています。
(JR西日本安全考動計画2017:https://www.westjr.co.jp/safety/fukuchiyama/plan_consider/pdf/anzen2017_2.pdf)
(寄稿:九州大学鉄道研究同好会員 横ひじ)
書籍の販売
九州大学鉄道研究同好会「鉄路」第30号
700円(税抜)
※本寄稿記事は、鉄路には掲載されておりません。
九大鉄研寄稿記事
・【連載】筑肥線についてⅠ(寄稿:九州大学鉄道研究同好会員 あずさ)
・熊本地震から1年、被災した鉄道路線の復興への道のり(九州大学鉄道研究同好会)
・東海道・山陽新幹線 列車番号の”仕組み”(九州大学鉄道研究同好会)
・東海道・山陽新幹線 所要時間の”不思議”(九州大学鉄道研究同好会)
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