国鉄を代表する”近郊型電車”といえば、113系を思い浮かべる方が多いことでしょう。

 

これよりも以前、常磐線に導入された403系・423系の直流版である同形式は、広範囲に整備されていた直流区間で活躍する形式として、首都圏から地方まで幅広く運用されたため、多くのファンに知られた名形式と言えましょう。

 

現在は、新型車両や低年式車両に押し出される形で徐々に活躍の場を減らしてはいるものの、いまだに地方で活躍する姿を見ることができます。

 

さて、今日はその113系直流近郊電車の兄貴分にあたる111系・四国色をご紹介します。

 

 

≪113系の基礎となった111系≫

1961年登場の国鉄401系交直両用電車の”直流版”である111系は、1950年代から60年代初頭にかけて東京地区普通列車に使用されていた80系や153系を置き換える目的で、1962年に誕生しています。

 

これらの車両は、デッキ付き・片開き2ドアのため、通勤ラッシュに伴う客扱いにおいて十分に乗客をさばくことができず、利用客の激増しつつあった東京近郊圏にあっては、よりスムースな乗降のできる車両が求められていました。

 

この際登場した、401系に採用された片側両開き3ドア構造は、今日にも通ずる近郊型電車として新型車両にも採用されている設計思想です。

 

主電動機は、1時間の定格100kW出力のMT46A形を搭載していますが、ほどなくしてこれよりも強力な120kW出力のMT54形モーターが開発されているため、111系電車として製造されたのは、たったの1年間、1962年~1963年となりました。

 

1963年から1982年までの20年間にわたって2,900両ほどの製作された113系とは大きく運命を異にしました。

 

とはいえ、実は111系は1963年に製造が中止されたわけではありません。

 

電動車こそ、113系として”モハ113形”・”モハ112形”が新規に作られましたが、運転台を有する制御車や付随車は基本的な性能に変更がなかったため、111系の増備として継続して製造が続けられました。

 

≪四国に渡った生き残りの111系≫

さて、実質的な量産形式である、”直流近郊型電車の決定版113系”に地位を譲った111系でしたが、定格出力の違いが113系との共通運用にままならなかったのか、またそもそも非力であることが足かせとなったのか、1987年の国鉄分割民営化の際には、そのほとんどがJR各社に継承された113系とは対照的に、111系においてはJR四国で使用されることとなる4両編成5本が継承されたにすぎませんでした。

 

1%e6%9c%88

国鉄分割民営化のまさに前夜ともいえる、1987年3月に四国で初めて電化された高松~琴平・観音寺間以外が非電化路線であった四国線内にあっては、電車であること自体の方が珍しく、本来気動車車両やディーゼル機関車に貼り付けられている”架線注意”というシールが、111系のおでこで眩しく光っていました。

 

架線注意シールの本来の意味合いは、保安係員が、作業のために気動車車両の屋根上に上る際、「気動車だからこの線路に架線は無いだろう」という思い込みのもとに、不注意で感電事故を起こしてしまうことを防止するための注意喚起であり、まさか電車の屋根に上る際に、架線がないとは思わないでしょうから、わざわざ電車のおでこには貼らないというものなのですね。

 

初期の111系四国車に貼りつけられていた”架線注意”は、まさに気動車王国”四国”を象徴する証だったといえるでしょう。

 

<人気の記事>

気軽に長距離を楽しめる列車の構想?JR西日本が長距離列車検討

懐かしの国鉄車両を彷彿とする、サボ風パスケースを試作しました

ヘッドマークキーホルダー5種類発売中(北斗星・トワイライト・カシオペア・さくら・はやぶさ)

【幻の貨物新幹線計画】新幹線には貨物列車が走る予定だった?

【583系ナインドリーム甲子園号】わずか5駅・16kmを走る寝台列車!

鉄道車両用「速度計」を「腕時計」にしてみました

幻の”夜行新幹線”計画、実現の可能性は?

 

 

<関連記事>

【衝突安全対策の”証”】113系鉄仮面!

【化けの皮】この顔、113系じゃない!旧型国電モハ62系!

113系最初期のスカ色は塗り分け位置が違った!!?

E217系登場から22年、もしE235系が横須賀・総武快速線に投入されたらこんな色?

【今どき415系12連は超貴重?!】現役!!415系快速12両編成!

幻の国鉄急行型「163系」とは・・・

【107系・115系順次引退】上越・吾妻・信越線211系導入へ。

115系山スカのお話。

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。

ITEM CATEGORY

ITEM RANKING

SNS