方向幕には準備あり 幻の285系 寝台特急”あさかぜ”号
285系電車を使用した列車といえば、現在、国内を走る寝台夜行列車として唯一残る”サンライズエクスプレス”号です。
さて、1998年7月10日に登場、当初より東京~高松間の「サンライズ瀬戸」および東京~出雲市間「サンライズ出雲」で運行されているサンライズエクスプレスは、定期列車としての運用のほかに多客時にはサンライズ出雲の臨時増発運転、サンライズ瀬戸においては高松より先に延長運転が行われ、地方帰省客のための季節列車としての役割も果たします。
なお、登場当初の1998年から2008年までのおよそ10年間は予備の1編成を利用した「サンライズゆめ」号を運転。
この列車は、不定期な臨時列車としてではありますが、東京~岡山・下関を結ぶ、かつての東海道・山陽優等列車然とした、花形運用もありました。
あさかぜ方向幕を収録?!
さて、日本国内に唯一残る定期寝台夜行列車として昨今、再注目と人気をより集めつつあるサンライズエクスプレス。
実は、サンライズエクスプレス専用車両である285系電車には通常時に使用する”サンライズ出雲”や”サンライズ瀬戸”の方向幕のほかに、国内各地の主要都市を目的地とした種別特急幕の行き先方向幕が収録されていることをご存知でしょうか。
もちろんこれは、将来の運用において、そのような列車が登場するということを確約したものではなく、臨時列車としてや特別仕立て列車として運行する際に”もしかすると”使用するかもしれない、という予備の予備的に収録されたものですから、現実に使用される確率は非常に少ないと申せましょう。
しかしながら、終着駅に到着した列車が”回送”を表示させるまでに使用されたことのない方向幕が垣間見えるのは、それはまた鉄道趣味の魅力なところで、”この列車が○○に行くのか~”と、さまざまの想像を掻き立てるのです。
前置きが長くなりましたが、285系の方向幕の中にはかつての寝台特急ブルートレイン・”あさかぜ”であろう方向幕が収録されています。
あさかぜは、1956年から2008年まで存在した名列車の中の名列車で、全盛期にあっては東京~博多を結ぶ列車でした。
お気づきの方もあろうかと思いますが、285系は直流電車であって、鹿児島本線は交流電化区間ですから走行することはできません。
方向幕も、下り方面は”特急 あさかぜ 下関”となっていますから、廃止直前の下関止まり”あさかぜ”と同ルートを想定しているものと思われます。
山陽新幹線の博多開業以降、山陽本線を経由して九州へと至る特急列車は順次縮小・廃止の一途をたどり現在は皆無。
あさかぜの下関止まりを想定しているにもかかわらず、同ルートを走行していた”サンライズゆめ”が、同列車名と方向幕を用いなかったのは、あくまで臨時列車であったからでしょうか。
もし、東京~下関間に定期寝台特急として復活させるならば、この時こそ”サンライズあさかぜ”としてかつての名列車が甦るのかも、しれませんね。
285系電車概説
285系電車は、1998年、JR東海とJR西日本が共同で開発した特急型「寝台電車」です。
寝台特急 瀬戸と出雲の一部列車を285系に置き換え、サンライズ出雲・サンライズ瀬戸としてデビューしました。
この285系、寝台電車としては、さかのぼること、1967年。
世界初、寝台・座席兼用の特急型電車として登場した、581系・583系以来の車となります。
しかし、581・583系寝台電車は、昼夜兼用として開発された経緯から、複雑な構造による座席使用時の居住性の悪さ、新幹線の発達による需要の減少で寝台列車はもっぱら、客車列車が主流となっていました。
そのような経緯の中で登場した285系は、スピードアップの観点から、寝台電車というDNAを受け継ぎつつも居住空間の快適性、アメニティの充実を図り新しい寝台列車の「形」として世に送り出されたのです。
車両の内装は、なんと住宅メーカー、ミサワホームのユニットシステムが取入れられ、これまでにない、木目調のぬくもりを感じられる明るい室内に。
利用客の多様性を考慮した、普通車指定席特急券のみで乗車できる「ノビノビ座席」車も連結しています。
寝台列車の需要が軒並み減少していた中、常に高い乗車率を保っており、東京と出雲、四国方面を結ぶ寝台特急電車として定着しています。
代表的な存在であったブルートレインを使用した列車は遂に終焉を迎えてしまいましたが、サンライズエクスプレスで得られる夜行列車の気分はまだまだ味わえそうです。
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