1984年、交流専用として715系0番台が長崎本線・佐世保線に導入。

その1年後の1985年、交直両用の581系/583系本来の機能を活かして改造、北陸本線に投入されたのが419系交直両用近郊型電車です。

 

その導入・経緯に関しては先の記事でご説明しましたが、要するに地方電化路線のパターンダイヤ化による列車の増発・高頻度運転に必要となる電車車両を、当時余剰となりつつあった特急型電車581/583系から捻出、近郊型電車へと改造したというものです。

(先に改造された715系電車の記事にて、改造の経緯をご紹介しています⇒こちら

 

さて、”特急型電車”しかも昼行夜行兼用特急車として設計・製造された581/583系電車を、もっぱら普通列車として、時間帯によっては通勤輸送で使用するのにはいささか不都合があったに違いありません。

 

乗降扉を1両1ドアから2ドアへと増設したものの、もともと幅狭な折り戸、座席も特急形ゆえの余裕ある空間では収容力にも限界があり、明らかに不向き。もともと長期間にわたって使用する予定ではなかったようです。

もっとも、クロスシートについては、座席は特急時代のものをそのまま流用したため、重厚な造りの車体とともに乗り心地は快適でした。

 

90年代に入ると、想定通り、東日本・九州地区に在籍していた715系は、順次後継車に置き換えられ引退の道を選びましたが、ことお題の419系は、当時において製造にコストのかかった交直両用車という点から重宝され、2006年に521系の導入が開始されるまでは第一線で活躍したのです。

 

定期運用を失う2011年3月のダイヤ改正時点では、419系への改造から実に25年以上が経過しており、特急として活躍した期間よりも長く運用されたのでした。

 

北陸という風雪にさらされる過酷な環境の中で長年にわたって使用された419系は、末期には腐食の進行を防ぐため、前面貫通扉・愛称幕の埋込改造を受け、往年の特急車両としての面影を失いつつありましたが、延命措置を受けながらも運用に就けたことは、581/583系そもそもの造りの良さを示す証左でもあり、誇りであったとも申せましょう。

 

イラストでは、419系登場当初の赤にクリーム帯の国鉄色、JR西日本移行後に登場したホワイトにブルーの帯の新北陸色を並べてみました。

今回も”月光顔”側のイラストでご紹介しましたが、次回は食パン顔も描いてみたいと思います。

 

引退時は、特別なセレモニーが行われることなくひっそりと職場を去った419系ですが、北陸地区長年の”地域の足”として活躍したことは長く記憶に残り続けることでしょう。

 

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