1990年、JR貨物は国鉄時代に開発されたEF66形直流電気機関車およびEF81形交直両用電気機関車を部分改良しながら新造しつつ、新型機関車の開発を急いでいました。

 

当年3月、将来の旧型車取り換えと輸送力増強を目的としてVVVFインバータ制御を採用するなど各種の新基軸を採用した新型機関車、EF200形電気機関車を完成させました。

 

国鉄・JRが開発した機関車では、これまでで最強となる6,000kWの大出力で1,600tの牽引を可能とし、まさに”最強の電気機関車”です。

 

設計当初、これからの貨物列車の需要拡大を見越したために、重量級・長編成向けの大出力機として登場したものの実際にEF200形をフルパワーで走らせてみると、そもそも変電所の容量が足りず、架線電圧を下げてしまい、ほかの列車の運行に影響を及ぼすことが判明。

 

当初予定していたフルパワーでの運用は実現されず、これ以降、EF200は本来有する出力を出せず、最大出力を制限の上活躍を続けています。

 

今回、EF200形の試作機である901号機は、既に廃車・除籍の取り扱いとなっていましたが、この車両を制作した日立製作所水戸工場にて静態保存されることとなりました。

 

しかしながら、いくら試作機とはいえ、登場からわずか25年での引退は何分、早すぎるようにも思えます。

 

先代に当たるEF66形の試作車901号機でも2001年の廃車までに実に35年は活躍していたわけですから、もう10年~20年程度は活躍を続けそうなものですが、すでに日立製作所が機関車製造事業から撤退、保守部品の確保も事実上不可能となってしまっているため、車齢が若いままに部品取り用の為の廃車も発生しているのが現状です。

 

特に新機軸を採用した新型形式は、機関車に限らずこれまでの電車や気動車においても短命となってしまった例はいくつもありますが、このEF200形の経験を活かした後継機EF210形は、省電力・大出力機であり、1996年の登場以来、現在も増備の続くメジャー機関車へと成長しています。

 

貨物需要が純増したうえで、変電所の改良・増強、旅客鉄道各社との協調がスムーズに進んでいた場合は1,600t貨物の実現も視野に入ったものだったでしょう。

有り余るパワーが逆に仇となってしまったEF200形。

モーダルシフトの点においては、環境にやさしく、コストも抑えられる鉄道貨物は有利な輸送手段です。

今後、鉄道貨物が復権する際には、EF200形のような大出力機が再登板する時代が来るのかもしれませんね。

 

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  1. ニッシー より:

    EF200を最初に見たのは、吹田機関区のイベントで当時は新鶴見の配置であった。横須賀いた当時で新鶴見機関区での、イベントにも行き、検査区へ行って現場の職員にいろいろと聞き、試作当時雑誌の投書で当時はブルートレインに使用出来ないかと、聞けば返事は不経済の一言で牽引定数が1000トンを超え、ブルートレインの15~6両で5~600トンでは早く言えば軽すぎる。
    交直両様のEF500とED500は試作で終わり、変電所の容量が足りないことは他にも”227系”でも最初は可部線には入れなかった。昭和33年の特急こだまでも同様であり、高速で他の電車と並ぶと、電圧降下で今までも東海道本線の所々で架線が2列になっているのは、特急こだまの名残かもしれない。2年後には、青大将のつばめ、はとも電車化された。
    20両、量産されて気が付いたら30余年の運行で良い引き際である。時期的には’EF66の100″代も同様で、増して国鉄を引継ぎの機関車は尚更である。東海道~山陽本線その後は一分EF510を含めて、EF210の桃太郎だけになる。

  2. 貨物 より:

    可能であれば、EF200を改造して、佐川急便のスーパーレールカーゴみたいな貨物電車に改造してもよかったような気がします。(台車と主電動機を流用車体だけ新造)

  3. 50代ファン より:

    歴史は繰り返すのですね…大日立によるテクノロジーの快事と現実の差がある(あった)ことに哀惜の念を禁じ得ない…

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