日本国有鉄道の民営化前夜である1986年。

 

北海道向けの酷寒地仕様と四国向けの暖地仕様で2種類が登場した一般型気動車、それがキハ54形です。

 

JR7社の中でも、いわゆる”3島会社”と呼ばれる、JR北海道・JR四国・JR九州は、地理的・経済的条件から見て経営基盤が脆弱であることから、将来、車両の取り換えにおける負担が重荷になることを念頭に、日本国有鉄道として最終年度の予算によって、これら地域向けの新型車両を製造したものです。

 

いわば、国鉄として最後の”置き土産”であったと申せましょう。

 

 

国鉄の置き土産、キハ54形

冒頭で説明したように、北海道に向けた酷寒地仕様と暖地向けの2種類計41両が製造されたキハ54形。

 

裾絞りもなく、暖地仕様はスカートも装備していないことから、小柄な軽快気動車に見えますが、これでも立派な21m級の全長を有しており、大型の一般型気動車キハ40と同様の車体長を誇ります。

 

腐食の心配がないステンレス車体に、2エンジンの搭載は、酷寒地での対候性を配慮し、メンテナンスに優れたうえ軽量、かつ勾配や積雪地域におけるパワーを確保するための動力を持ち合わせています。

 

その一方においては、末期の国鉄車両に見受けられた台車・走行機器類・運転機器等を在来の廃車発生品を再利用しており、コスト削減に努めています。

 

 

 

北海道向け、キハ54形500番台

キハ54形の中でも、501~529号車に当たる車両が、500番台に分類される北海道向け酷寒地仕様車です。

 

雪をかき分けての走行や、動物との衝突を念頭に、正面にはスカートを装備しました。

 

四国向けの暖地仕様と印象を大きく異にするポイントです。

 

 

 

 

側窓上の赤帯が、”急行用”の証

その500番台の中にも、527・528・529号車は、旭川-稚内間の宗谷本線、急行「礼文」号専用車両として制作。

 

0系新幹線電車の廃車発生品である転換クロスシートを装備する、豪華仕様となりました。

 

2000年3月のダイヤ改正で、急行”礼文”が廃止されてしまったため、こののちは、ほかのキハ54形と同様の運用を行っていますが、正に急行列車として活躍していた時代に、間合い運用として充当された普通・快速列車は、”乗り得列車”であったと申せましょう。

 

なお、これら急行仕様車と一般車両は、外見上は全く同一であったために、側窓上に赤帯を1本追加することで識別化。

 

たった1本の赤帯ですが、この帯にこそ、優等列車に充てられていたステータスがにじみ出ているのです。

 

 

 

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