さかのぼること1963年、日本国有鉄道が開発した直流近郊型電車113系および115系電車は、国鉄民営化後、経年による老朽化・設備の陳腐化が進みつつありました。

国鉄時代においては、15年以上の経過した車両について、老朽化・陳腐化が進んでいましたが、新型車両への置き換えを進める財政的余裕がなかったことから、「特別保全工事」と呼ばれる、屋根や腰板、窓まわりの外販補修（腐食の修理）、空気配管や配線の取り換えを行い延命工事を実施していました。

1987年の国鉄民営化によるJRの発足後も、これら更新工事は引き続き行われることとなるのですが、JR西日本では内装や外観を大幅にリフレッシュする工事が行われました。

これを、”体質改善40N工事”といいます。

そして、2002年以降に行われた更新工事は、40N更新工事のメニューの一部を省略し、よりコストダウンを図りました。

これは、113系・115系自体の車齢が伸びつつあったことから、重要な項目以外を省略したものです。

それを”体質改善30N工事”と称します。

当時における新型車両に準じた部品との共通化によるコスト削減や、整備の効率化を求めたほか、腐食防止のために一部外装部品をステンレス化、ユニット窓枠の交換、客室設備では、シートピッチの広い転換クロスシートへの交換、内装の近代化を行い、客室設備面でも大幅なサービス向上を目指しました。

筆者私事ではありますが、かつて青春18きっぷによる山陽本線の旅では、113系・115系・117系には大変お世話になったもので、言わずもがな117系に乗れた時には、快適なクロスシートに片側2ドアという静粛性・居住性高い車両で喜んだものです。

一方で、113系・115系の未更新車は、お世辞にも乗り心地が良いものではなく長時間の移動もあって大変腰を痛めたり、足がしびれたものです。

その点、西日本の更新車は快適なクロスシートに近代的な客室設備で、快適な移動空間を楽しめた、という思い出があります。

N30／N40更新工事の誇り”岡山・広島更新色”

本日掲載の写真は、113系のN40更新車・岡山更新色、です。

文字通り、N30／N40更新が行われた車両に対して塗られた誇り高き更新色、といえます。

薄茶色をベースに、窓まわりをベージュ風の茶色、その下部に子持ちラインとしてJR西日本のコーポレートカラー青20号。

上品なカラーリングで、113系・115系に良く似合っていました。

広島・下関地区の所属車については、基本色をオイスターホワイトとした差別化が図られ、2色で広く活躍しました。

地域単色化で消滅へ

2010年ごろ、JR西日本では主に塗装費用・塗装工程の簡素化を目的に地域に合わせたカラーを車体に単色塗りする、単色化を開始しました。

これは、国鉄時代に登場した車両を中心に実施するもので、更新工事を請けた113系や115系もその対象車両となりました。

順次塗り替えを進められ、2017年現在、間もなくそれら車両の単色化が完了しようというところにあります。

更新工事を受けた113系・115系の中でも一種の孤高の存在であったN40／N30体質改善車。

これら”更新色”を見ることはできなくなりますが、単色化した姿で、末永く活躍してくれることを期待します。

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