東京地下鉄・東武鉄道・佐川急便・日本郵便・ヤマト運輸の鉄道2社と物流3社は、8月29日に、東京メトロ有楽町線、東武東上線において物流実証実験を行うと発表しました。

通常は旅客運用に従事する、東京メトロ10000系電車を用いて荷物を運びます。

 

以前、地方交通の活用術として、北越急行と佐川急便の協業による荷物電車の記事を掲載しました。

物流が自動車主流となって久しい我が国、かつての旅客列車には荷物電車と呼ばれる車両が連結され、旅客の小荷物輸送・郵便輸送を担う役割を持つ車両が存在しました。これらは、モータリゼーションによるトラック輸送で廃れていき、今では一部地域の列車に残るのみです。

 

北越急行・佐川急便の事例では、佐川急便の取り扱い拠点間をトラックではなく列車で結び、最寄駅から営業所までをトラックで輸送するという、貨客混載による余剰輸送力の活用、利用者の確保、環境負担軽減を目的とした取り組みでした。

 

そういった中で行われる今回の実証実験は、まさに、「都会版貨客混載」。物流にかかわる交通渋滞、二酸化炭素排出量の削減、トラックドライバーの人手不足などを解決する方法として、旅客列車の輸送力を活用してみようというものです。

 

実証実験では、東京メトロ10000系電車の1両を使用。ほかの車両には乗客を乗車させたまま、模擬荷物を運搬します。

2パターンの実験を行い、そのうちの1パターンは、「拠点間輸送」。物流各社の拠点から、東京メトロの新木場基地に荷物を搬入し、同和光車両基地、東武鉄道森林公園研修区へ運行、その後各物流会社の拠点へとトラックにて輸送します。

もう1パターンは、「拠点~駅間輸送」。車両基地から荷物を積載し、新富町・銀座一丁目・有楽町の各駅で荷物を下ろしていきます。まさに、かつての鉄道小荷物輸送をほうふつとするような輸送形態です。

 

今後、実験に際して適切な設備、人員配置、旅客輸送に与える影響、物流各社のニーズなどを勘案し検討していく、としています。

 

地球環境にやさしく、高い安全性、利便性、定時性を誇る日本の鉄道。鉄道による荷物輸送に着々と復活の兆しを感じます。

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