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幻の”夜行新幹線”計画、実現の可能性は?
先般、大阪府摂津市にある”貨物新幹線計画”の遺構を解体・撤去するとした記事をご紹介しました。
1964年、国鉄が開業した東海道新幹線においては、旅客列車と並行して貨物も輸送する”貨物新幹線”が計画されていました。
結局、当時の計画は様々の事情により、とん挫、実現せず現在に至るわけですが、(貨物新幹線に関するお話⇒過去記事はこちら) 本日は、貨物新幹線と並んで、構想の段階で立ち消えしてしまった、「夜行新幹線計画」についてもかじる程度、ご紹介したいと思います。
「夜行新幹線計画」。その字句を見るだけ、聞くだけでもわくわくしてしまうのは、なぜでしょう。
遡ること実に41年前。
1975年の山陽新幹線博多開業時は、東京~博多に7時間ほどの時間を要していました。およそ、半日ともいえる長時間にわたる乗車時間です。
これを夜間帯に運転し、車内設備に寝台を設けることができたなら。。。
まさしく、「夜行新幹線」導入の話が持ち上がったのもうなずける、というものです。
しかしながら、常時200km/h超で運転され、しかも住宅地を縫うように駆け抜ける新幹線は、周辺住民に対する騒音被害の問題と隣り合わせにありました。
深夜、寝ている時間帯へ轟音・風切り音とともに列車に走り抜けられたら、なかなか寝付けたものではありません。また、頻繁・高速で列車が行きかう日中に対して、夜間は安全運行を維持するための保線作業に充てなければならず、複数の課題がありました。
それでも、夜行新幹線は計画段階とはいえ、ある程度具体的に構想が進んでいたというのも事実です。
夜間運行の際には、複線の内片側1線で保線作業を行い、残りの一線を夜行新幹線に充てる単線運転を実施。離合の為に、姫路駅下り側にホームが追加されているほか、予備の退避駅として西明石・相生の2停車場が建設されました。
寝台車両については、1973年に国鉄が制作した全国新幹線網対応車両、961形に寝台を設定し、試験が行われたといいます。
かなり具体化された夜行新幹線計画ですが、先に述べたように列車通過時の騒音が沿線住民による訴訟にまで発展したことや、国鉄の分割民営化に伴う各社方針の独立化により、計画はあえなく頓挫することとなるのです。
時は移り変わって、現在。
新幹線に限らず、高速道路網の発達による高速バスの台頭・価格低下に伴う航空機の大衆化は、高速移動を一般的な手段として選べるようになりました。
東京~博多を空の便で2時間程度となった今の時代、逆に時間をかけ、寝台料金を設定して運行する夜行新幹線に勝ち目はあるのでしょうか。
むやみに、無いことはない、と考えます。
最終の飛行機よりも後に出発し、翌朝、始発の飛行機よりも先に到着する。移動時間を睡眠時間に充てて、時間を最大限に有効活用できるという意味では、あながち勝ち目のない計画ではなかったのではないか。
車内にコンセント・Wifiが設備されれば、ビジネスホテル利用層の取り込みも望めるでしょうし、旅行や観光にも使えるでしょう。
もっとも、騒音の問題こそ解決せねばならない点ではありますが。
また、大分話が飛躍してしまいますが、東海道・山陽新幹線と東北・北海道新幹線直通できるならば、北は北海道から南は九州鹿児島まで一本化することができるわけで、より夜行新幹線の機運は高まってくることでしょう。(寒冷地仕様の問題や九州新幹線はオールM車でないとならないなどの制約があることはこの際忘れることにします(笑))
という、今日はとりとめもない夢の話に終始してしまいましたが、こういうお話、どこか実現可能性は難しいよね、と思いつつ、”幻の鉄道計画”には、ロマンを感じてしまうものです。
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コメント
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夜行でなくても 昼間の寝台車が必要なのです カプセルホテル式にして 安価な お尻が痛くならない 希望としては3階建てが楽しいのですが 真ん中通路 両側がカプセルホテル風です 収容力は椅子の時と変わらない筈です。
夜間は線路の保守管理の為 「最高速度を在来線並みに落とし、片側のみの線路を使用する」 という条件で走らせるのなら運行上の問題はある程度解消されるものと思われます。
私の記憶が正しければですが 下記の本
九州特急物語―創業からJR九州までの120年 (JTBキャンブックス)
に、上記の構想が書かれていた箇所があったように思います。