試作車デビューから数えて半世紀。まもなく最終章を迎えるEF66 0番台
1966年、国鉄の高速電気機関車EF66の試作機としてEF90が登場、こののち翌々年の1968年から1974年までの6年間、そして時を越えて1989年から1991年までJR貨物が製造した直流電気機関車、それがEF66形電気機関車です。
日本の鉄道における大動脈ともいえる、東海道・山陽本線において長きにわたり貨物列車/客車列車の牽引機として君臨し続け、JR化後、生産終了して久しいにも関わらず、姿を変えつつも再新製された特異な経歴を持つ機関車。
試作機EF90形の登場から、51年。およそ半世紀。
特急貨物列車を牽引し、歴代の東海道・山陽ブルトレの先頭に立ち続けたEF66の0番台、最盛期には55両が在籍しましたが、いよいよ残るはJR貨物に所属する2両のみとなりました。
今日は、高速大出力電気機関車時代の幕開けを担ったEF66形0番台 電気機関車にフォーカスしましょう。
狭軌史上最強(当時)の電気機関車 EF66
EF66の登場当時、高速道路網が急速に展開しつつあった日本において、高速道路を走行する自動車輸送に対する鉄道輸送の速達的優位性は失われつつありました。
これに伴い、国鉄は生鮮品輸送など、特に輸送所要時間の短縮が求められる貨物列車について、高速化を図ることとなり、最高速度100km/hの走行が可能となるコキ10000系コンテナ車・レサ10000系冷蔵車を登場させるとともに、EF66を開発するに至りました。
1966年9月には、大出力の電動機を搭載した試作形式EF90形を製作。
定格出力3,900kWは、狭軌鉄道として当時、世界最大出力の持ち主であり、まさに”最強機関車”の名をほしいままにしました。
特急貨物「とびうお」・「ぎんりん」牽引担当へ
話が先に進んでしまいますが、JR時代となってからのEF66形を知っている方は、東海道・山陽本線をブルートレインの車列を率いて堂々たる活躍を思い出すでしょう。
ところが、EF66形は、もともと高速の貨物列車牽引専用機として登場した機関車です。
兄貴分に当たるEF65(F形)の2倍のパワーを持ち、とびうお・ぎんりん牽引機として暫定的に充当されていたEF65形の重連をEF66形1両に置き換えました。
2倍のパワーは伊達でなく、2両分を必要とするパワーを1機で担いきってしまうインパクトは、かなり大きなものだったといえます。
花形運用に抜擢へ。ブルトレ牽引への充当
登場から実に17年目。
貨物機として日々活躍していたころ、花形運用への抜擢、ブルートレインの牽引機に充当されることとなります。
東海道/山陽寝台特急 ブルートレインはやぶさ・富士・さくらの牽引を担当し、ブルトレブームの真っただ中を行ったEF65PFと比較すると、多少の二番手感は否めませんでしたが、特急客車列車牽引機として非貫通な前面形状に正面窓を傾斜させたスポーティなスタイルは、板についたスタイルでした。
特に、寝台特急富士号牽引時には、慣例の丸型ではなく、富士山を模ったヘッドマークを装着し、なかなかにEF66のそのスタイルとマッチしており、貫禄ある雰囲気を醸し出していました。
100番台はJR貨物で継続生産へ
国鉄での生産終了から15年経った1989年、JRへの移行期と被る同時期には、好景気に沸く貨物輸送の需要が増加した時期と重なっており、次期後継車両となる機関車の開発が間に合わず、100番台として継続で生産が続けられました。
ただし、この機関車が客車列車を牽引することはなく、専ら貨物牽引専用機として活躍を続けています。
100番台の登場からも、今年で28年。
車両としての寿命でいえば、中堅からおよそ経年車の域に達するところでしょうか。
国鉄時代にして、大出力電気機関車時代の幕開けを担ったEF66 0番台。
一つの時代の最終章が近づいています。
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