いよいよ9月にお目見え?復刻新製・旧型客車風JR西日本から登場
2015年3月30日、JR西日本は、現在保有している”SL(蒸気機関車)”の永続的な保存に取り組んでいく方針を示したうえで、この先数十年程度、安定的にSLの動態保存を継続できるよう、機関車の保守整備及び客車車両の取り扱いについてのプレスリリースを発表していました。
SLやまぐち号に使用する新製客車の完成目途が、本年9月頃とアナウンスされていたことからまもなくその全容が明らかになるのかと期待に胸膨らみます。
<プロトタイプは戦前の旧型客車>
さて、JR西日本の発表したプレスリリースの中で非常に目を引いたのは、SLが牽引することとなる客車車両を新たに”新製する”、というもの。
製造する客車のプロトタイプとなるのは1920年代から1930年代にかけて製造された、日本国有鉄道の前身である、鉄道省が制作したマイテ49・オハ35・オハ31という車両です。
・客車紹介
【オハ31】
戦前を代表する客車である、本格的な鋼製車として誕生したオハ31。
当時はまだ大きなガラスを製造する技術がなかったために、狭い即窓が並ぶ窓構成となり、車体の接合にはリベットを用いたことによる側面の表情、あかり取りの為のダブルルーフ構造の屋根が特徴的です。こののちに紹介するオハ35と比較すると、旧態依然とした風貌がまさしく旧型客車であることを物語っています。
【オハ35】
戦前・戦後に渡って、全国で活躍したオハ35は、技術の進歩により、側窓大きな窓ガラスを採用、巻き上げ方式のカーテンによる日よけ、戦前車のみですが、丸屋根構造を採用した屋根の形状は、現代に通ずる車両構造のパイオニアともいえるでしょう。
【マイテ49】
車端部に連結される展望デッキを有するマイテ49客車は、1938年に東京~下関間の特急「富士」に使用するために製造された車両で、戦後は連合軍の接収・返還を経て、特急「はと」「つばめ」の展望車として活躍しました。
JR西日本が所有するマイテ49 -2 は現役引退後、交通科学館に展示されていましたが、1987年に本線復帰、現在はJR 西日本網干総合車両所宮原支所に配置。
展望デッキ、展望室、一等客室と給仕室、便所、化粧室、車掌室を有する丸屋根構造の車体で、まさに日本の鉄道史そのものを経験してきた貴重な車両と言えます。
新製客車の導入は山口デスティネーションキャンペーンの開催される9月。それに伴い、列車沿線の駅もSLの現役時代に合わせて、レトロ調へと改修されます。
SLやまぐち号に用いられるD51-200蒸気機関車は、1938年浜松工場にて製造されてから今年で79歳。大変長い年月を経て、これから数十年永続的に動態保存をしていこうというJR西日本の意気込みに敬意を表さざるを得ません。
D51-200概要:http://www.westjr.co.jp/press/article/items/141017_02_SL_D51.pdf
JR西日本プレス:https://www.westjr.co.jp/press/article/2015/03/page_7018.html
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