1986年10月にかいじ国体のため運転された、「お召列車」。日本国有鉄道が分割民営化される直前の運行で、「国鉄最後のお召列車」を担当したのが”EF64 77号機”です。

 

側面に白帯、手すり、連結器、雨どいなど、随所に施された銀塗装の加飾は、お召列車牽引機にふさわしい貫禄と風格を兼ね備えています。

 

今日のイラストでは、お召仕業時を再現。

 

前面に菊の御紋章と日本国旗を掲げた姿は、お召列車1号編成の先頭に立って、さっそうと駆け抜ける晴れやかな恰好です。

 

さて、”お召列車”と言いますと、天皇・皇后両陛下がお乗りになる列車である、ということは一般に認知されていることではありますが、このお召列車を運行するにあたっては、様々な決まりや制約があります。

 

まず、3つの原則として、

1.ほかの列車と並走してはならない。

2.追い抜かれてはならない。

3.立体交差地点では、上にくる線路をほかの列車が通過してはならない。

 

というもの。

 

運行に際しては、臨時に定期列車の時間をずらしたり、調整を行うほか、事故などの事態に備えて、ダイヤ作成担当者が添乗します。

 

また、お召列車運行時間の前には、俗に言う「露払い列車」を運行し、安全性の確保や危険性の排除を徹底。

 

この際、客車でのお召列車の運転の際にけん引役を担う、機関車も選択肢は限られています。機関区や車両所の中で、特に状態の良い個体が選ばれ、入念に整備、特別な加飾を施します。

運転士は、日頃の勤務態度・人格から、乗務時のダイヤ厳守、停止位置完全一致、発車・停車時の振動を発生させない、熟練の技術を持った優秀な運転士により、運行されるのです。

 

まさに、最高のコンディションで臨まれるのが、お召列車の運行なのです。

 

お召列車の運行に関するお話にそれてしまいましたが、このEF64 77号機は、JRの発足後まもなくJR貨物に配属。

 

稲沢機関区へと配置され、国鉄色の時代は、貨物仕業においても側面の白帯と手すりの銀塗装は健在でした。更新工事施工時には、JR貨物更新色へと塗装変更され、いよいよほかのEF64とは区別がつきにくくなりました。

 

特別な仕業を担った点から、保存や展示のうわさもありましたが、任務を全うし廃車。車籍を抜いた後は、愛知機関区の教育用機関車として保存されていましたが、2012年に、愛知機関区の有志によって、お召牽引機時代の姿に復元され、ごく希少ながらも展示・公開されています。

 

お召けん引機関車としては、C57、EF58やDD51あたりが注目されることが多いですが、EF64もお召けん引を担ったという歴史は、特筆できることですね。

 

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