熊本地震から1年、被災した鉄道路線の復興への道のり(九州大学鉄道研究同好会)
最大震度7の地震が熊本を襲ってから2017年4月14日で1年が経ちました。
熊本のシンボルでもある熊本城も崩落した箇所が未だ残っており、復興までの険しさを物語っています。
鉄道路線も地震により大きな被害を受けた一つです。
今回はその中でも特に被害の大きかった南阿蘇鉄道と豊肥本線を中心に、熊本の鉄道路線の復興について取り上げます。
豊肥本線の復興
豊肥本線は、震災で特に被害の大きかった肥後大津―阿蘇間(約40km)で終日運転を見合わせています。
現在、肥後大津―宮地間でバス輸送が行われております。
今年4月より復旧工事が着工され、全線復旧の目途は立っていません。
中でも沿線の山の斜面崩落が多数起こっており、他にも落石、土砂流入、地盤変状、軌道変状、駅舎損傷など被害の数は多くにのぼります。
特に阿蘇大橋の崩落現場では付近の山の斜面が大きく崩落しており、豊肥本線の線路の上にも大量の土砂が覆いかぶさってしまっています。
写真は著者が昨年9月に阿蘇大橋付近の現場に訪れた際のものです。
(JR九州 豊肥本線(肥後大津駅~阿蘇駅間)復旧工事の着手について:https://www.jrkyushu.co.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2017/03/21/170321houhihonsenhukkyu.pdf)
南阿蘇鉄道の復興
南阿蘇鉄道は現在、立野―中松間(10.6km)で運転を見合わせています。
土砂の流入やトンネル、鉄橋に大きな被害を受けており、現在のところ運転再開の見込みは立っていません。
国土交通省の調査結果によると、全線の復旧には少なくとも5年はかかるとのことです。
震災直後は被害の大きさと膨大な復旧の予算により廃止の話も出ましたが、第三セクター各社や鉄道ファンからの多額の寄付などもあり、復旧へと前進しております。
由利高原鉄道、ひたちなか海浜鉄道、いすみ鉄道、若桜鉄道が共同で各鉄道会社主要駅の入場券と運転見合わせ区間も含んだ南阿蘇鉄道全線の乗車券がセットになった「南阿蘇鉄道希望の光復興祈念切符」を発売し、1部1,000円の売り上げの内、700円を南阿蘇鉄道に寄付をしています。
このように多くの南阿蘇鉄道復興の働きかけによって全線運転再開へ一歩ずつ近づいています。
(南阿蘇鉄道HPより:http://www.mt-torokko.com/about/)
(いすみ鉄道株式会社HPより:http://www.isumirail.co.jp/3292)
おわりに
熊本地震から1年が経ちましたが、被災した鉄道路線の復興への道のりはまだ長いです。しかし、多くの人々の働きかけによって着実に復興は進んでいます。今回取り上げた路線だけでなく、多くの被害を受けた人々、地域の一日も早い復興を願っております。
<寄稿:九州大学鉄道研究同好会>
書籍の販売
九州大学鉄道研究同好会「鉄路」第30号
700円(税抜)
※本寄稿記事は、鉄路には掲載されておりません。
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