JR西日本では、来る3月18日にノスタルジー色（国鉄一般色風）を纏ったキハ40系車両による日帰りの旅行商品を発売します。

岡山県備中県民局、株式会社阪急交通社、西日本旅客鉄道株式会社岡山支社は共同で、岡山県が誇る酒処「備中エリア」の地酒や地域の皆様によるおもてなしをお楽しみいただける「おかやま備中杜氏の郷　地酒列車」を平成29年3月18日（土曜日）に運行します。

株式会社阪急交通社では、関西および岡山を発地とした「地酒列車」を組み込んだツアー2コースを企画し、平成29年2月1日（水曜日）から発売いたします。おいしい地酒を楽しみながら、備中エリアを巡る特別な旅をお楽しみください。

（JR西日本ニュースリリースより）

懐かしの雰囲気、キハ40と地酒を楽しむ

高梁川（たかはしがわ）により歴史と文化を培ってきた備中地域では、岡山県内でも有数の酒処。

日本酒は水が命。と言われますように中国山地を源流とする高梁川の優れた水質は、酒造りに適した良質な”米”を生み出しました。

全国に名を馳せた「備中杜氏」の素晴らしい知恵と技が今日においても引き継がれ、おいしい酒が醸されています。

昭和30年から40年代の国鉄型気動車車両の標準色であった、”国鉄一般色”を纏うキハ40系は、車内も当時の懐かしいモケットシートに瓶ジュース用の栓抜き、JNR(国鉄の英章)入り栓抜きの設置されたノスタルジーあふれる車両です。

懐かしい鉄道の”旅”をしのびながら地酒を楽しめる贅沢な機会となりましょう。

列車の運行概要

（1）運行日
平成29年3月18日（土曜日）

（2）運転区間
岡山～新見駅間（伯備線）

（3）使用車両
キハ40・47系　ノスタルジートレイン2両

（4）運転時刻
岡山駅→新見駅（下り）

新見駅→岡山駅（上り）

（5）販売価格
関西発　13,800円（税込）
岡山発　上り：9,480円（税込）、下り：9,980円（税込）

（6）募集人数
上りコース90名、下りコース90名（それぞれ最少催行人数は20名）

詳細は、こちらから。

国鉄一般色に塗られなかった、キハ40系

1977年登場、1982年までに総勢888両という大量増備で、今もなお全国で活躍する国鉄一般型気動車キハ40系。

1950年代において、国鉄の有する実用的なエンジンには出力に余裕のあるものが存在せず、苦肉の策として車両の軽量化、設備の簡素化により登場させたキハ10系は、1970年代、老朽化とともに設備の陳腐化が進行していました。

軽量・簡素化のしわ寄せは、客室内設備に及ぶもので、車体小型化による断面の狭さは居住空間が窮屈になることを意味していました。

簡素な座席を交換しようにも、重量増になる改造は冗長性のない非力なエンジンに負担を掛け、使用不能に陥るために実施できず、結局大きな改善が図られることのないまま70年代後半を迎えてしまうことになります。

このような中に登場したキハ40系は、この後に老朽化・廃車が進むであろうキハ55系・キハ20系の取り換えも視野に入れつつ、これらを置き換える目的を持たせ、一般型気動車として開発がすすめられました。

上述のように、一般型気動車として開発された国鉄の形式ともなれば、これまでに登場した形式と同様に”国鉄一般色”であるクリームと朱色のツートンに塗られるのがスジかと思いますが、この際、キハ40系は登場時からすべての車両が首都圏色と呼ばれる朱色一色に塗られたのです。

では、なぜこれまでのツートンを採用せずに、朱色一色になったのでしょうか。

これは、国鉄の財政難による、コスト削減策の一環です。

1964年、東海道新幹線開業の年。

その華やかな世界初の高速鉄道開業の裏で、日本国有鉄道は赤字へと転落します。

巨額の債務を抱える国鉄は、むやみな車両の新造を行なわず、用途の不要となった車両を改造して再使用するなどコストの削減に努めましたが、車両の塗装に関しても、これまでの2色塗り分けにするより、一色で塗り上げたほうが塗料を用意する経費やその後の保守も容易になることから、朱色一色となる”首都圏色”を採用しました。

ですから、現在は、”ノスタルジートレイン”や”国鉄一般色風”とは呼ばれるものの、キハ40系のツートンは本来ならば”実際に存在していた可能性のある正当なカラーリング”、と捉えることもできるわけで、現にクリームと朱色の組み合わせはキハ40系によくお似合いです。

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