JR西日本においては500系、JR東海においては700系新幹線電車の後継にあたるN700系新幹線は、2007年JR東海・JR西日本の共同開発により登場した第5世代の新幹線です。

 

≪N700系新幹線とは≫

「700系」の数字前に冠される”N”という英文字は、”Next”や”NEW”を意味し、0系と300系の完全置き換え、500系・700系の「のぞみ」運用からの撤退を目的とし2007年7月から営業運転を開始。

 

現在は、のぞみ運用を中心とする東海道・山陽新幹線の主力形式として君臨しています。

 

2011年には、このN700系新幹線をベースとした、山陽・九州新幹線用8両編成の7000番台・8000番台が両社によって開発され、この後100系新幹線の置換とともに、山陽・九州新幹線の直通運転が開始されました。

 

 

 

≪N700系開発の経緯≫

700系新幹線の先代、N700系にとっては先々代に当たる500系新幹線は、山陽新幹線内での300km/h運転を可能とすべく、JR西日本が満を持して開発した車両です。

 

高速化を実現するため、居住性・座席数・乗降扉位置の違いなど、いくつかの点において在来車種との運用効率やサービスを犠牲にしていた500系ですが、これは山陽新幹線の抱える”航空機との競合”に勝つべくして求められた性能で、同線において”のぞみ号”は300km/h運転を達成します。

 

その反面、線形の悪い東海道新幹線上では最高速度が270km/hに抑えられてしまうため、過剰性能となっていました。

 

同時に、先に述べたように在来車両との設備の違いは、ダイヤ設定や運用効率、使用車両変更となってしまった際の差し替えなど、特に、本数の多い東海道新幹線上では敬遠されがちな車両で、事実、JR東海は500系新幹線を保有しませんでした。

 

これらを踏まえる形で、後継となる700系新幹線は、汎用性を重視し、JR東海・西日本の両社で共同開発をすることになります。

 

最高速度285km/hの700系は、最高速度220km/hの0系、230km/hの100系を置き換え、東海道・山陽新幹線の全体的な高速化に寄与しましたが、やがてJR西日本においてはあくまでも300km/hの性能を有する車両を、JR東海においては列車本数の増加とデジタルATCの導入に伴う、より高加減速に優れた車両を求めるようになります。

 

最高速度は500系と同等、設備・定員・扉位置等は在来の300系・700系に合わせるという、この両社の要望に沿う形で共同開発されたのがN700系新幹線電車、ということになるのです。

 

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最高速度300km/hを実現した500系新幹線

 

 

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カモノハシ先頭形状に愛嬌を感じる700系新幹線

 

≪スピードアップに貢献、N700A系の登場≫

0番台・3000番台をベースとしたN700A系に当たる1000番台は、従来のN700末尾に”A”が付与されました。”A”は進歩を現す英語”Advanced”の頭文字。ほぼ同様の外観を有しつつ安全性や定時性の確保、乗り心地、環境性能の観点において改良が行われた番台です。

 

車体傾斜装置の搭載により、東海道新幹線は最高速度285km/hでの運行が可能となりスピードアップ・時間短縮に貢献しています。

 

本年5月には、既存のN700系新幹線にもN700A系と同様の装置を搭載改造させたことから、全車両のN700A系化が完了。東海道新幹線においては、今年から2019年にかけてN700A系を追加導入し、700系を完全置き換え、全列車の最高速度が285km/hへと統一される予定です。

 

 

≪N700Aの後継、N700Sの話題≫

JR東海は2018年、N700系のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両、N700S系試作車を製造することを発表しました。

 

新形式は、N700系のシリーズ車種として”S”が付加されますが、その意味は最高の新幹線を意味する”Supreme”(スプリーム)に由来します。主にあげられた特長の中で、いくつかピックアップしますと
SiC素子の採用で駆動システムの大幅な小型・軽量化を実現。
これによる設計自由度の向上から「標準車両」の実現が可能となり、編成両数、編成出力等を最適化した車両を低コストで、素早く提供できるようになります。

 

N700系シリーズは東海道・山陽のみならず、起伏の激しい九州新幹線にも導入されていることから、これら標準車両の組み合わせで、複数の線区に対応させていけるでしょうし、海外輸出も含めた視野で車両の設計を考えられていることがうかがい知れます。

 

先頭形状も現行のN700系から進化。

 

側窓形状は従来型を継承しつつ、N700Aに採用されている「エアロダブルウィング形」から新開発の「デュアルスプリームウィング形」へと進化するそうです。

 

出典:JR東海ニュースリリース

出典:JR東海ニュースリリース

 

 

0系新幹線以来、「新幹線の進化は完成に近づいた」と言われている今、N700系の進化と歴史にまた新しい1ページが刻まれようとしています。

 

 

 

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