さらば月光形 583系

 

 

世界初の昼行夜行兼用寝台電車581・583系。

 

1968年からのべつ幕なしに走り続けて49年。およそ半世紀。

 

583系現役唯一の生き残りである、JR東日本秋田支社所属6両1編成N1N2が、いよいよ4月8日のさよなら運転にて引退します。

 

定期運用を離脱後、6両編成に短縮の上、臨時列車や団体旅行の波動輸送用として活躍していたN1・N2編成。

 

美しい国鉄特急色のままに活躍するその姿は、大勢の仲間(581・583系)や同僚(485系)を失っても、堂々たる貫録で、いまだに現役当時の輝きを失っていません。

 

さて、今日はまもなくの引退を迎える583系が歩んできた、歴代の塗装と形式を顔のイラストでご紹介しましょう。

 

惜別583系、さらば月光形。

 

 

JR西日本では”シュプール色”・”きたぐに色”が登場

初代・JR西日本色(シュプール色)

国鉄分割民営化後、JR西日本においては1991年から約2年間、583系の”延命N40工事”を実施しました。

 

この際、従来の国鉄特急色から、JR西日本色(シュプール色とも)として淡いブルーをベースに紺色と若草色のラインからなる塗装へと変更されました。

 

90年代当時でも、長年休みなしに長距離を走り続けたことからすでに車体や電装類の劣化・腐食が進んでいたため、開閉不要な窓の埋め込み化や屋根の塗り塗装化、床下配管・電装類の再整備を実施。

 

腐食を防止する工事のほかには内装のリニューアルも行い、アコモ改善を行いました。

 

 

 

2代目・JR西日本色

1997年には、新たにホワイト地をベースにブルーグレー、オレンジとブルーのラインで構成されるカラーリングへと変更。

国鉄色に次いで精悍な印象へと変身しました。

 

この塗装は、JR西日本最後の583系運用となる「急行 きたぐに」の終焉とともに消滅したため、JR西日本色とは別に”きたぐに色”とも呼ばれます。

 

 

 

夜行列車減少による余剰車両の近郊型改造

交流電車の需要が増加し、種車に選ばれた583系

1980年代に入ると機動性のある電車を中心とした等間隔ダイヤが利便性が高く、地元利用客に好評を得たため、地方都市圏においてもこれを拡大していくこととなりました。

 

直流区間においては、従来の直流電車を短編成化・先頭車改造を施し、その需要に応えることができましたが、こと交流区間を持つ地域においては、電化されている区間にあっても従来の客車列車や気動車を用いていたため、速達性のある電車型ダイヤの導入に当たって交流車両を必要としていました。

 

ところが、時は国鉄の累積債務が問題視された真っ只中。

 

国鉄がほいほいと新車を導入できる余裕はありませんでした。

 

この際、地方向け交直両用車両として417系・九州地区交流区間向け713系が新たに開発されましたが両者ともに少数が製造・試作されたのみで新造を終了しています。

 

そこで登場したのが、急行列車運行の減少に伴い用途を追いやられた455系・457系・475系ら交直両用急行型電車を近郊輸送用に改造した車両たちと、583系を近郊改造した419系・715系です。

 

 

夜行列車の減少で余剰となる

さて、581系・583系は世界初の昼夜行兼用車両として登場した特急型電車。

 

昼間、座席車として活用するときは寝台を折りたたみ、ゆったりとした座席へと変身しますが、夜間、寝台列車として運転する際には座席を展開すると寝台が出来上がります。

 

大変複雑な機構によるメカニズムですが、それゆえ、座席車として運用するには少々無理が生じていました。

 

それは、特急列車にも関わらず、座席がボックスタイプだったこと。

 

転換式クロスシートならば、進行方向に向けて座席を設定できますがボックスタイプは座席が向かい合わせになってしまいます。

 

4席知り合い同士できっぷを購入したらば別ですが、知らない乗客同士であれば、気まずく目が合ってしまう状態ですね。

 

当時はすでにリクライニングシートを装備した昼行専用の485系電車が全国で活躍していましたから、特急列車としては見劣りし敬遠されるようになりました。

 

また、取柄であった昼行・夜行機能も新幹線の地方延伸に伴う長距離移動手段の変化で、夜行列車自体が減少するに至り581系・583系の用途は狭まりつつありました。

 

そのような中、前述の項でお話しした近郊車両需要への対応です。

 

 

長崎佐世保線向け、交流専用715系0番台

1984年、九州地区長崎本線・佐世保線用に交流専用として改造・導入されたのが715系です。

 

国鉄としては、そもそも581・583系自体の経年も考慮したうえで、長い期間は使わないだろう、という想定の下最低限の改造を施します。

 

特急形であった為に車両1両あたり1か所だった乗降口を1か所増設し2箇所とし、デッキを廃止、寝台機能が使えないように固定したうえで座席専用車となりました。

 

高速運転の必要がなくなり、普通列車として使用するために歯車比を変更し起動加速力をアップさせています。

 

短編成への組み換えを行うことから、先頭車が不足、中間車から先頭改造車も登場しましたが、従来の月光形正面ではなく、簡易的に運転台と窓を設置したため、その高い屋根の断面がそのままに出現してしまい、ファンの間では”食パン”と呼ばれました。

 

▲715系0番台 国鉄色

 

JR分割民営化後、九州色としてアイボリーに青帯の施された塗装へと変更されました。

▲715系0番台 九州色

 

 

 

仙台地区向け、715系1000番台

0番台登場の翌1985年3月のダイヤ改正で登場した仙台地区用715系1000番台。

 

0番台が暖地である九州向けであったことと対極に1000番台は寒冷地仕様として客用扉の半自動化やドア付近のロングシートに防風板を設置、防寒・防雪対策を施しました。

 

九州向け0番台国鉄色に類似していますが、横帯の端部処理が異なっています。

 

▲715系1000番台 国鉄色

 

 

交直両用を活かしたままの419系

715系1000番台が登場した1985年、同時に北陸本線金沢・富山都市圏向けに導入されたのが419系です。

 

同様の趣旨で誕生した車両にもかかわらず、形式名が419系となったのは、北陸本線が交流区間と直流区間の双方を有していたため、種車そのままの交直両用機能を使用すべくこれを保持させました。

 

改造後、種車の経年も考慮されたことから長らく使用されるとは想像をだにしませんでしたが、改造元の583系時代よりも長く、奇跡的に2011年まで活躍をつづけたことは驚きの一言です。

 

▲赤にクリーム帯のいで立ちで登場した419系 国鉄色

 

 

▲長らく活躍した419系 北陸色

 

 

 

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