1987年4月1日、日本国有鉄道は北海道から九州までを6つの旅客会社と、貨物会社1社のJR7社に分割。発足から、今年の4月1日で30周年を迎えます。

今から28年前の1989年、JR東海として発足しておよそ2年目。

国鉄分割民営化直前まで東海地区に投入されていた211系・213系電車の継続生産車両にして、JR東海の自社発注車である211系・213系5000番台の生産と同時期に、JR東海初の形式として登場したのが311系電車です。

211系から飛んで300台へ、JR東海311系

1989年7月9日のダイヤ改正にあわせて登場した311系直流近郊型電車は、JR東海が新規形式として開発した車両です。

国鉄分割民営化・JR東海発足直後は、211系の5000番台／213系5000番台を製造していました。

5000番台は、国鉄形とはいえども東海独自の設計思想や運行路線に合わせてカスタマイズされた車両で、動力車比率の高い短編成（2M2Tや2M1T）が製造されました。

国鉄時代の0番台とは一線を画くといえます。

しかしながら、形式名は継続して使用したうえでそれぞれに5000番台が付番されており、外見上においても大きな変化はなくあくまでも、国鉄形式の”継続生産”という色合いが強かったように感じられます。

さてJR東海として、東海道本線における新快速・快速列車の増発を行うこととなる1989年7月のダイヤ改正では、新快速・快速列車充当用に311系電車が投入されることとなります。

基本的なシステムは211系5000番台を基本としながらも、帯色をそれまでの湘南色からJR東海のコーポレートカラーであるオレンジ一色に。側面帯には、アクセントとして上下に白帯で縁取っています。

先頭部前面形状をやや傾斜のついたFRPマスクとしており211系の系統を組むデザインながら変化のついた立体的形状となりました。

普通列車を中心に活躍する211系と同じにせず、快速・新快速へと充当する機会の多い311系は、スピード感ある見た目で機運を高めたのかもしれません。

しかしながら、同時期に開発されたJR西日本221系・JR九州811系らと比較したときに、前面形状の大幅な変化等、国鉄形からの脱却を果たしつつ、これ以降に開発される両社のエポックメイキング的存在の役割を持った両形式とは対照的に、当311系は、前面形状にもさほどの変化が起きず、国鉄形車両の”進化”たるものを順当に歩んだように見受けられ、まさしくそれは、車両の形式を頑なに国鉄書体で書き入れ続けることや、近年まで行き先方向幕を採用し続けたこと（新幹線でたとえるところの700系）からわかるような、JR東海の保守的傾向の現れであるようにも思えました。

導入の経緯が異なることから、211系と311系を単純に比較することは難しいのですが、211系5000番台は1991年まで製造を継続、国鉄生まれの形式がJR東海新規形式である311系の製造終了よりも後となっており、いわば”逆転現象”が起きています。

快速・新快速にふさわしい内装の311系

名古屋・静岡都市圏で普通列車として使用することを見込んだ211系5000番台とは対照的に、全席固定及び転換クロスシートを装備した311系は、まさに快速・新快速列車にふさわしい車両となりました。

導入当初から、計画通り東海道本線新快速を中心とした運用で活躍しましたが、1999年に後継車である313系が登場すると、もっぱら普通列車を中心とした運用へと変更。

同時に113系電車の置き換えもこの車両で持って進むこととなります。

現在では、大ファミリーを築いている313系の陰ながらに、普通列車はもちろん、快速・特別快速列車等で活躍を続けています。

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