415系置換への足音?811系リニューアル進む
JR九州では2017年4月27日より、811系リニューアル第1編成の運転を開始しましたが、同社では今後、他の811系電車においてもリニューアル更新工事を進めてゆく、と発表しています。
811系も登場から28年
811系近郊型交流電車。
JR九州発足後、近郊型電車としては初となる”新形式”です。
国鉄の分割民営化からおよそ2年後となる1989年から運行を開始しました。
こののち813系・815系・817系、そしてBEC819系と個性的かつ他社とは一線を画すこだわりの車両開発で注目を集めてきたJR九州ですが、まさにその基礎にあるのが811系と申せましょう。
登場から28年。
まもなく経年車の部類に入りつつある811系ですが、JR九州は制御装置の更新や内装のリフレッシュで、新しい息吹を同車に吹き込み、改めてJR九州の”CT”(コミュータートレイン)に組み込みました。
さてこの際、811系のリニューアルでは制御装置のVVVF化という大きな改良のほかに、内装における”ロングシート化”が特筆できます。
JR九州ではこれまで主な座席形状として”クロスシート”を採用してきました。
811系・813系がそれに該当します。
(813系の福北ゆたか線電化に伴う増車ではロングシート化されています)
その後、815系のロングシート、同様の設計思想でクロスシートの817系へと進化していきますが、2000・3000番台においてはオールロングシートとして登場。
このあたりから座席の”ロングシート化”が見られるようになってきました。
これは、通勤通学混雑時においては輸送人数が大幅に増やせるほか、乗降時の時間も短縮が図れ、輸送力増強に効果を発揮できるから、といえます。
確かに、通勤通学ラッシュ時間帯に811系や813系ら、クロスシート車両では多少の無理があった感は否めません。
ロングシートの415系鋼製車が置き換えられる?
前置きが長くなってしまいましたが、上述の通り、ロングシート車がじわりじわりと増えつつある現在にあっても、それまでの811系や813系らクロスシート車はそのままで残存し、均衡を保ち続けるものと考えていました。
ところが、今回の811系リニューアルでは、全座席がロングシート化され、今後残りの編成においても同様のリニューアルを施すということから、これまたロングシート車の比率が高まることとなるわけです。
JR九州において、811系よりも前の近郊型形式といえば415系電車です。
415系は鋼製車とステンレスの1500番台が存在しますが、特に鋼製車については経年が進んでおり、予断を許さない状態です。
地方における415系の運用は、811系リニューアルに伴って置き換えられていくのではないか、817系3000番台の増備が進み今後811系の地方転属が本格化する可能性もあります。
JR九州でも数が少なくなってきた国鉄形車両。
811系リニューアルの裏に、老兵引退の足音が聞こえているのかもしれません。
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